
海外渡航が緩和になるのはとうぶん先のことだろうけれども、緩和になったらまっさきに行きたいのが台湾だ。とくに今のこの寒い季節、台湾はあったくていいだろうなぁとつくづく思うのだ。
台湾はさまざまな魅力をもっているが、分かりやすいのが「食」。日本人にとっても定番スポットとなっているB級グルメの宝庫“夜市”。台北の「士林夜市」も良いけれども、台湾第二の都市・高尾の「六合夜市」はもっと刺激的だ。熱帯樹の茂る街中に集まる数えきれぬほどの屋台、そこで出される料理(得体の知れない食材もわんさか 笑)とスイーツの味は格別でまさに台湾ならではの醍醐味。もちろん台北の「鼎泰豊」など名店でいただく点心の味も良いのだが、ダイナミックな体験をしたいのなら夜市だろう。
台湾料理といえば調味料として使われる「八角」がよく知られているけれど、あの独特の匂いはちょっとダメという人もいるだろう。だが、なんども食べていくうちに馴れてくる。最初に台北に行ったときだったか、現地のセブンイレブンの前を通りすぎるたびに、店から漂ってくるあの強烈な匂いにうへ~となっていたものだが、今では食欲のトリガーとさえなっている(笑)。
台湾風ビーフステーキ「牛排」や真夏でもありつける「火鍋」など、他にも美味いものがたくさんあるし、ネタに事欠かない。店の種類や数がいっぱいあるので、最初はガイドブックを頼りに、次からは行き当たりばったりのグルメがおススメだ。店員の人もみな優しく接してくれるのが嬉しい。店の人ばかりでなく、多くの場で我々に向けてくれる笑顔と言葉。これも台湾に惹かれる大きな理由のひとつなのだが(アフターコロナであの笑顔に再開できることを祈る)。
「食」と言えば、台湾にはいま新たな“カフェ・ブーム”が起きていて、若い世代が日本家屋をカフェに改装しオープンさせているという。前から気になっていて、ネットで調べてみると、現代性とレトロなテイストがブレンドされたしゃれた感覚の店がいくつも出てくる。インテリアがあか抜けしているし、天井も高めで居心地がよさそうだ。ぜひ“台湾カフェめぐり”をしたいと思う。街歩きの楽しみが増えた。
さて、「食」ばかりでなく、台湾は「カルチャー」でもすこぶる充実している。とくにクラシック音楽(と舞台芸術)の分野への力の入れようは半端ない。なにしろ、いま台湾には、主にクラシック音楽の演奏を目的とする(国家的規模の)大ホールが3つもあるのだ。台湾は九州ほどの広さしかないことを考えるとこれは驚くべきこと。とても詳しくは書ききれないが、とりあえず新旧3つのクラシック音楽専用の大ホールをご紹介しておこう。
まずは台北の「国家音楽ホール(国家両庁院)」。1987年に建てられた豪奢なつくりのホール。コンサートホールと演劇専用の劇場があり、欧米の著名演奏家たちによるオーケストラ・コンサートやリサイタル、さらにバレエや京劇などの舞台芸術も上演されてきた由緒ある劇場。

そして2016年、台中にオープンした「台中メトロポリタン歌劇場(台中国家歌劇院)」。日本の建築家、伊東豊雄が設計したことでも話題となった。大劇場、中劇場、小劇場、野外劇場から成る複合型。白色と曲線がつくり出す空間が独特、シュール。いるだけで楽しくなるテーマパークのような感じか。オペラにバレエ、そして最近では活動が盛んになっているモダンダンスも観ることができる。筆者もこんどはまずはここを訪れることを決めている。様々なパフォーマンスが楽しめるホールのホームページは飽きない。

3つ目は高雄の「衛武営(ウェイウーイン)国家芸術文化センター」。ここも2018年に開館したばかりの複合型の新しい施設で、オペラハウス、プレイハウス(演劇専門)、コンサートホール(パイプオルガン付き!)の3つのホールを持つ。アート感覚とテクノロジーが合さった近未来的なスポットだ。

ホールにふれたついでに、台湾出身で世界的に活躍するヴァイオリニスト2人の最新音源をご紹介して終わりです。

「Solace」(デッカ)
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ集からのオムニバス
※ロックダウン中に自宅(フィラデルフィア)でレイ・チェン自身が制作したデジタル配信。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲他
(CDドイツ・グラモフォン)
※人気急上昇のライジングスターによる初のコンチェルト。ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団との共演。2019年録音。
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